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企業のカスハラ対策義務化が迫る

企業のカスハラ対策義務化と法的リスク・防止措置のポイント|岡野法律事務所

三重県は本年6月4日の定例記者会見で、顧客による著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント。以下「カスハラ」といいます。)の防止に向け罰則付きの条例案を9月の県議会に提出する方針を明らかにしました。来年4月の施行を目指しているようで、罰則付きの条例が成立すれば全国で初めてとなる見通しです。

カスハラは以前より社会問題となっています。昨年厚労省が公表した統計によると、令和6年にカスハラが原因で精神障害の労災認定された件数は、前年度から約2倍に急増しています。

企業は従業員に対し、生命・身体などの安全を確保しつつ労働できるように必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法5条)。
企業の顧客から従業員に対するカスハラが行われた場合には、企業は安全配慮義務に基づき従業員をカスハラから守らなければなりません。企業がカスハラ対策を怠った結果、従業員が精神的苦痛を負った場合、企業は従業員から損害賠償請求されるリスクがあります。

このたび、改正労働施策総合推進法が本年10月1日から施行となります。これにより、企業がカスハラ防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが義務化されます。この改正法を受けて厚労省が「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」を定めています。事業主としては、
①カスハラについての方針等の明確化及びその周知・啓発、
②相談体制の整備、
③事後の迅速かつ適切な対応、
④カスハラ抑止のための措置、
⑤相談者のプライバシー保護や相談したことを不利益に取り扱わないこと等の措置を講じなければなりません。

カスハラで従業員の労働能力が低下すると企業の生産性が低下します。カスハラ対策が充実している企業とそうでない企業では、その評判が採用力や離職率にも影響してくるでしょう。
顧客の要望・クレームには正当なものも当然ありますが、カスハラに対しては企業として毅然と対応する必要があります。

厚生労働省は「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」を公表しており、何がカスハラに当たるか等を始め、企業が悩むポイントについてQ&Aでまとめています。また、カスハラ対策指針は既に多くの企業や自治体が公表しており、これらも非常に参考になります。

カスハラ対策についての検討が十分でなかったり対策の方針がまとまっていなかったりする事業主の方がいらっしゃいましたら、前記の指針や上記Q&Aなどを参考に、速やかにご検討いただければ幸いです。

弁護士 丸子洋平

文責

弁護士 丸子洋平

広島本店所属
所属弁護士会:広島県弁護士会
登録番号:48910

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